貴方の愛に捕らわれて
2
気がつけば空は白み始めていた。
結局、逃げ帰ってベットに潜り込んものの、一睡もする事なく朝を迎えた。
『はぁ……。どうしよう』
一夜明けて冷静になると、昨晩の自分の行動に後悔する。
猛さんの知り合いであろう龍二さん。
彼の手を思いっきり振り払って逃げ出してしまった。
挨拶もせずに、あんな風に取り乱して二人のもとから走り去るなんて。
『はぁ……』
このまま横になっていても眠れそうにないので、少し早いが起きてシャワーを浴びることにした。
自分の部屋の鍵を外し、そっと家の中の気配を伺う。
先程帰宅した母親は既に自分の部屋で寝ているようだ。
母親を起こさないよう、そっと部屋から出て浴室に向かう。
少し熱めのシャワーを浴びる。
風呂場の鏡に写る自分の顔を見て、またため息が漏れる。
そこには、泣いたのと寝不足のせいで目を腫らした、酷い顔をした自分がいた。
『最悪……』