貴方の愛に捕らわれて
 

大きな手のひらに、繰り返し優しく髪を梳かれる感覚に、夢見心地にうっとりとしながら目が覚める。



重たい瞼を開けば、最初に目に飛び込んできたのは、穏やかに微笑む猛さん。



「昨夜は無理させてすまなかったな。

体の具合はどうだ?痛み止めを飲むか?」



少し困ったように眉尻を下げてた猛さんが、啄むようなキスをくれる。



寝起きでぼうっとする頭が段々とクリアになってゆき、昨夜のことを鮮明に思い出すと、どうしようもない恥ずかしさに襲われる。



羞恥で真っ赤になって俯く私の頬を、無骨な親指が優しく擽る。



頬を擽る確かな温もりと、猛さんと一つになれた幸福感で、頬が緩んでしまう。



だが、ふと昨夜の自分の霰もない痴態を思い出して、幸せいっぱいに膨らんだ持ちが萎んで、頬が強張る。



あんなはしたない姿を見て、猛さんはどう思っただろう?



 

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