貴方の愛に捕らわれて
 

そう、私が不安になるのは自分に自信がないから。



今の幸せが自分には分不相応に思えるから。



今まで漠然としていた不安の原因が分かった私に、猛さんはフッと笑うとその大きな胸に抱きしめてくれた。



「本当はお前が高校を卒業するまで待つつもりでいたんだが、待つのは止めだ」


そう言うと私の頬をひと撫でし、「待ってろ」と耳元で囁くと、啄むだけの口づけを落として、寝室のドアを開けたままにして出て行った。



その後ろ姿を呆然と見送ると、隣の部屋のドアが開く音がし、次いで小さな物音と共に薄い紙を手にした猛さんが戻って来た。



「後はお前がサインするだけだ。ここにサインしろ」



ベッドの上で未だポカンとする私に差し出された紙に書かれた文字は



『婚姻届……』




薄い用紙に書かれた文字を、声に出して読んでみたものの、その意味が頭に浮かばない。



―――は!?



 

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