貴方の愛に捕らわれて
やっぱりこんな子供じゃ、猛さんには相応しくないって思うよね。
猛さんの手を取ったことに後悔はないけど、猛さんの周りの人達に受け入れてもらえないことが、凄く悲しかった。
ツンとする鼻の奥。じんわりと浮かんでくる涙が零れないよう、目に力を込める。
これくらいのことで泣いちゃ駄目だ。
必死に涙を堪える情けない顔を見られたくなくて、私はワンピースの裾をぎゅっと掴んで俯いた。
すると今まで黙っていた猛さんが、口を開いた。
さほど大きくもないのに、その声はざわめく室内を一瞬で静かにした。
「香織を、組の事に関わらせるつもりはねぇぞ。
お前ら何と比べてんのか知らねえが、コイツはそんな安っぽいもんじゃねぇ。
勘違いしてんじゃねぇぞ。コイツは俺にとって唯一無二の存在だ。ただ居てくれるだけでいいんだ。俺の嫁はコイツ以外に有り得ねえ。
それはこの先も未来永劫、変わることはねぇ。よぉく覚えとけ!!」