貴方の愛に捕らわれて
 

静まり返った室内に猛さんの声が響き渡る。



唯一無二の存在――未来永劫、俺の嫁はコイツ以外に有り得ない。



猛さんのこの言葉は、私が思っていたよりもずっと深い意味を持っていたなんて、その時の私には知る由もなかった。



ただ私は、さっきまで周りの人達に認めてもらえないと、萎んだ気持ちに新たな勇気を注いでくれる、魔法の言葉のように感じていた。



「申し訳有りません。姐さん、無礼な発言をお許し下さい」



突然、目の前の男の人が深々と頭を下げる。さっき質問をした人だ。



その男の人に続いて、その場にいる男達が一斉に同じ様な謝罪の言葉を述べ、頭を下げてゆく。



厳つい、しかも自分よりも年上の男の人達に頭を下げられ、どうしていいのか分からない。



この人達は当然の疑問を口にしただけ。


ただ、猛さんの気持ちに応えて、私に頭を下げてくれているだけなのだ。



 

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