貴方の愛に捕らわれて
「おいおい、タヌキジジイはないだろう猛君。
まあ、腕に覚えのある弁護士なら、腹の中が真っ白って訳にはいかんさ。
しかし驚いたな。若いのに、物事の本質を見る事が出来るお嬢さんなんだね。気に入ったよ。
これからよろしく、香織さん」
柔和な笑顔から一変、ガハハと豪快に笑いながら肩をバシバシ叩いてくる住田先生に、若干引きつつも、ぎこちない笑顔でを浮かべて、よろしくお願いしますと返した。
それから住田先生は、私達が籍を入れた事で、私の生活がこれからどう変わって行くのかを、分かりやすく説明してくれた。
先ず驚いたことは、既に学校に入籍したことが届け出られていたこと。
いつの間に??だって婚姻届にサインしたのは金曜日だよ?
それなのに既に学校側との話し合いは済んでいて、他の生徒に与える影響なんかも考慮して、結婚の事実は、校長先生と教頭先生、それから私の担任の先生にしか知らせない、ということになったらしい。