貴方の愛に捕らわれて
 

それだけでも十分ビックリしたのに、更に追い討ちをかけるように、衝撃の事実が告げられた。



それは私が、既に奨学金を辞退しているということ。



私が全く知らない間に猛さんは、私の三年分の学費は愚か、修学旅行の積立金なんかも全て支払い済みなのだと、何でもないことのようにサラッと告げられた。



在学中に結婚してはいけないという規則はなかったけど、結婚の事実が学校側に知れたら、きっと奨学生としての資格を失うだろう。



既に私の中では、高校を中退することは決定事項で、その覚悟も出来ていただけに、聞かされた話の内容が頭に入ってこずポカンとする。



高校の学費は決して安くない。なのに赤の他人である私の為に、ポンと三年分の学費を支払ってくれていたなんて。しかもその事実を本人に告げることなく。



 

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