貴方の愛に捕らわれて
14
 

無事に入籍手続きも終わり、住田先生の車で帰路につく。



ぼんやりと窓から見える景色を眺めていると、行きと違う風景だと気がつく。



帰りは違う道を通るのだろうか?不自然にならないように、周りの景色を観察する。




おかしい。明らかにマンションとは違う方角に向かって車は進んでいる。



手続きが済んだらマンションまで送ってもらえる筈なのに、何処へ向かってるの?



運転席の住田先生に気づかれないよう、ポケットにそっと手を忍ばせる。



恐怖と緊張で震える指先で、ポケットの中の携帯を握りしめた。



「ポケットの中は携帯かな?」



前を向いたままの状態なのに、唐突に自分の行動を言い当てられ、ギクリとなる。



携帯を握りしめる手に、思わず力がこもった。



「安心しなさい。猛君に頼まれて本宅に向かってるんだよ」


『本宅?』



 

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