貴方の愛に捕らわれて
聞き慣れない言葉に首を傾げると、住田先生とバックミラー越しに視線が合う。
「香織さんがどんな反応を示すか見たくてね。つい試すような事をして悪かったよ」
『それで先生の評価は?』
どうやら私は試されたらしい。
緊張の面持ちで運転席に座る人をじっと見つめる。
「予想以上――かな。
猛君ぐらいの立場になると、どうしても浮ついたお嬢さんでは困るんだが、香織さんは本当に年の割にはしっかりしてるね。
正直、ここまで冷静に対応出来るとは、思ってなかったよ」
『それは、認めてもらえたと言うことでしょうか』
「私は認めるとか、認めないとか言う立場にはないよ。
けど、君が見かけによらず真のしっかりした人だという事が分かって、安心したよ」
何とか合格点をもらえたことに、ほっとした。