貴方の愛に捕らわれて
肩の力が抜けて、シートにぐったりと身を預ける私を、ルームミラー越しに確認した住田先生は、もう一度悪かったねと謝ってくれて、本宅について教えてくれた。
何でも、私が今まで猛さんと暮らしていたマンションは、猛さんがセカンドハウスとして使っているマンションらしい。
私に対する配慮と、警察を警戒してのことなのだと言う。
私がもし、猛さんと一緒にいることを受け入れられなくなったとき、元の普通の暮らしに戻れるように、私の存在を秘密にしていたと教えられ、どこまでも私のことを思いやってくれる猛さんに、胸が熱くなった。
それと同時に、未成年者である私が猛さんと一緒にいたことで、猛さんに淫行罪などの容疑をかけられることを警戒していたと聞かされ、自分の所為で猛さんを危険に曝していたことに青くもなった。
車は閑静な住宅街を進み、いつしかそびえ立つような高い塀の横を走っていた。