貴方の愛に捕らわれて
不安な思いで部屋の奥に視線を向ければ、床の間の前に探し求めた人が座していた。
威風堂々たる佇まいを、惚けたようにぼうっと見つめる私を、大好きな低音ボイスが「来い」と呼ぶ。
呼ばれるまま、ふらふらと近付いて行けば、手を掴まれて猛さんの横に膝をつく。
見とれる私に目元を緩めた猛さんは、「問題無かったか」と聞く。
頬が熱くなるのを感じながら、『無事に手続きを終えました』と答えれば、そうかと言って無骨な手が頬に優しく添えられる。
暖かな手の温もりにウットリと頬を寄せていると、龍二さんの声が現実に引き戻した。
龍二さんの「揃いました」という低い声にハットして周りを見れば、いつの間にか玄関先で出迎えてくれた男達がずらりと畳に正座をしていた。
は、恥ずかしい。食い入るようにこちらを凝視する視線に、真っ赤になりながら慌てて猛さんの横に座りなおした。