貴方の愛に捕らわれて
今日は特別に私を紹介するため、日常的に顔を合わせる者達だけを集めたと言う龍二さんの言葉に、申し訳なさで青ざめた。
人と関わることから逃げてきた私は、人の顔や名前を覚えるのが酷く苦手。
三年間一緒だったクラスメイトの顔ですら覚えてないのに、どうしよう。
きっと情けない顔をしていたんだと思う。そんな私に猛さんは、これからずっと顔を合わせるんだから、ゆっくり覚えてゆけばいいと言ってくれた。
いつも私を甘やかせる猛さん。けど甘えてばっかりじゃダメだ。
一日も早く皆の顔を覚えなきゃと決意を新たに、一人一人の顔をよく見ようと顔を上げれば、広間の奥の一番端に五十代ぐらいの女の人が座っていることに気がついた。
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優しそうな雰囲気の女の人が、一人ポツンとこの場にいることに違和感を感じ、まじまじと見つめていたら、不意にその人と視線があってしまった。