貴方の愛に捕らわれて
 

慌てて視線を逸らせた私に、猛さんはククッと笑うと、その人を紹介してくれた。



彼女は藤野雪江さんといって、猛さんのお父さんの代から働いている家政婦だった。



藤野さんは組とは関係なく、私が暮らすことになる母屋の方を、担当してくれるという。



「女のお前には、俺や龍二達に相談し難い事もあるだろ。そんな時は藤野に言えばいい」



確かに男の人には言い難いこととかあるけど、誰かに相談するという選択肢が私の中にはなかったから、猛さんのこの言葉にびっくりした。



どう返していいのか困惑していると、藤野さんは優しそうな微笑みを浮かべて、何でもお申し付け下さいと言ってくれた。






それから猛さんは、私が今日から住むことになった本宅について、案内しながら色々と教えてくれた。



本宅と呼ばれるここは、大きく3つの区分けがなされてる。


 

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