貴方の愛に捕らわれて
『はぁ……』
「ため息をつく度、幸せが逃げてくって知ってる?」
『ぇ、…それはヤダ』
今はお昼休み。
教室のすみっこで机をくっつけ、お弁当を開いた瞬間に盛大に漏らしたため息を、クスクス笑いながらからかう由香里。
私の心配は杞憂に終わった。
結婚の翌日、ドキドキしながら登校した私に、おはようと駆け寄ってきてくれた彼女。
もう話し掛けてくれないんじゃないかと覚悟していたので、ちょっと感動して涙ぐんでしまったら、思いっきり笑われた。
あれは自分が悪かったんだし、あれぐらいのことで友達やめるほど、ちっさくないからと、お怒り気味に宣言された。
それからは毎日、学校ではずっと由香里と一緒だ。
私が休んでいた間に席決めがあったらしく、由香里と私の席は隣り同士になっていた。