貴方の愛に捕らわれて
 

だが、一時間毎に送られてくる写真を見ているうちに、次第に俺以外に向けられる笑顔に、何故だか心がささくれ立って平静でいられねぇ。



ざわつく感情が嫉妬だと気づいた時には、絶句した。



独占欲や嫉妬なんざ、自分とは無縁の感情だと思っていた。



なのに、同性のダチ相手に嫉妬を覚えるとは




……有り得ねぇ。




結局、嫉妬にかられた俺は、時間を気にせず遊んで来いと言ったにも関わらず、香織を連れ戻しに行く事にした。



丁度、ダチと別れる所だった香織を迎えに行けば、急に現れた俺に目を見張る香織。



ダチの方は直ぐに感づいて、素早く周りを見回したが、当の香織は、何で俺が連絡もなしにタイミングよく現れたかなど無頓着に、ただ嬉しそうに真っ直ぐ俺の胸に飛び込んで来た。



可愛いじゃねえか。余ほど驚いたのか、人前だということも忘れて抱きついて来た香織に、さっき迄のイライラが嘘みたいに霧散してゆく。


 
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