貴方の愛に捕らわれて
お庭の花を生けたのは、猛さんの役に立ちたい一心からだった。
幸いにも、私の生けた花を気に入ってもらえて、本当に良かった。
猛さんが身を置く世界は一種独特で、上の者の言うことは絶対だ。
みんな気を使って見せないようにしてくれているけど、下の者が酷く怒られているのが、開け放った窓から聞こえてきたりする。
時には理不尽だと思われるようなことで、怒られてたりもするけど、言い訳どころか、釈明する姿すら見たことがない。
組の人達はみんな働き者で、毎日、どこもかしこもピカピカに掃除されてて、朝早くから夜遅くまで本当によく働いている。
だから、この世界のことを何も知らない自分が、口出しするのは違うって分かっていたけど、お礼を言ってくれる龍二さん達に、どうしてもお願いせずにはいられなかったの。
本当に私がお役に立てたのなら、あんまり下の人を怒らないでって。