貴方の愛に捕らわれて
龍二さんの隣りには今一番会いたい人の姿はなく、ちょっぴり、…ううん、酷く落胆したのは内緒だ。
龍二さんに先導されて空港の正面玄関を出れば、そこには見慣れたフルスモークのベンツが《でんっ》と横付けされてて、それを見た瞬間、帰ってきたんだなあって実感が更に湧いた。
見慣れたお迎えの車にすら嬉しくなって、龍二さんが開けてくれたドアからいそいそと乗り込めば、大好きな低音ボイスが車内に響く。
「お帰り」
『―――!! ただいまっ』
龍二さん何にも言わなかったのに。
会いたくてたまらなかった人がそこに居て、思わぬサプライズに嬉しすぎて、周りの目も忘れて大きな胸に飛び込んだ。
それから本宅に戻るまでの間、私は猛さんの膝にずっと乗ったまま、大きな胸にピトリと頬を寄せ、楽しかった旅行の話をした。
龍二さんや運転をしてくれてた智也さんに、ゆる~く笑われたけど、猛さん不足の今日だけは多目に見てもらおう。