貴方の愛に捕らわれて
俺は後部座席から出ると、うつむいて足早に校門を出て来た香織を呼び止めた。
声を掛けると、香織は小さな身体をピクリと跳ねさせ、ゆっくりと振り返った。
そして、俺の姿を見つけると驚きで目を見開き、かすれた声で俺の名を呟いた。
呆然と立ち尽くす香織の目の前に立った俺は、気づけば、なぜあの日から来なくなったのかと責めるような言葉を吐いていた。
咎めるような問いかけに、無言で固まる香織。
強く言い過ぎたか…
視線を逸らすことも出来ず、ただ瞳を潤ませて無言で俺を見つめる香織。