貴方の愛に捕らわれて
 

痛くはないかと気遣う声に、『うん』とだけ答える。



だってそれ以上話したら、泣いてるのがバレちゃいそうなんだもん。



けど猛さんは全てお見通しだった。



「俺のいないところで泣いてんじゃねえよ。


本当にどこか痛んだりしないんだな?


明日の夕方には帰れるから、それまで良い子で休んどけ」



『……う…ん。待ってるから、早く…帰ってきてっ…』



嗚咽を堪えて待ってるって言えば、耳元で優しく笑って、出来るだけ早く帰ってくれると約束してくれた。



現金なもので、出来るだけ早く帰ってきてくれると言われた途端に、さっきまでの心細さが嘘みたいに消えて、嬉しくて泣き笑いみたいになってる私に、猛さんは携帯は枕元に置いて、何かあったら直ぐに電話をしろと言う。



でも病室で携帯を使ったらダメなんじゃないの?さっきから気になってた疑問を口にすれば、ここの病院は個室内なら使用可だって教えられた。



 

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