貴方の愛に捕らわれて
後ろめたく落ち着かない気持ちで話してたから、携帯を使ってもいいって聞かされホッとした。
安心した途端、普段の会話よりもハッキリと耳元に響く低音ボイスに、つい顔が緩んじゃうのを止められない。
携帯持って、一人ベッドの上でニヤニヤしてる姿は、端から見れば不審者だと思う。けど一人部屋だもん、いいよね。
そんな浮かれる私を現実に呼び戻したのは、猛さんの長いお小言。
後で夜食を用意させるからちゃんと食えよとか、欲しい物があれば佐武に言えだとか、明日退院したら家で大人しく寝てろとか、まあ次から次へと出される言いつけに、猛さんが異様に心配性だった事を思い出す。
そう言えば前に風邪で倒れた時も、付きっきりで看病してくれたっけ。
あの時とちっとも変わらない猛さんに、何にも解決した訳じゃないけど、私の中の不安は綺麗に霧散した。