貴方の愛に捕らわれて
 

その後の松野からの報告では、昼飯の弁当は半分ほど食えたらしいからひとまず安堵したが、夕飯はちゃんと食えただろうか。



香織に電話をしようと携帯を手にしたのとほぼ同時に、ドアがノックされる。



対応に出た智也の、困ったような制止の声に被って、忌々しいクソ女のかん高い声が響いた。



「ねえ猛さん、夜の会合まで時間アルでしょう?


私、見たいお店があるの。連れて行ってくださらない?」



対応に出た智也を押しのけ、我が物顔で部屋に入り込んできた冴子は、その豊満な胸を俺の腕に押し付け、しなだれかかってくる。




親父から代替わりして三年。早すぎた代替わりは系列傘下との繋がりを希薄にした。



異例の若さで跡を継いだ俺に反旗を翻す奴ら。力と金でソイツらをねじ伏せ、新たな繋がりを築くのに三年かかった。



 

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