貴方の愛に捕らわれて
 

代替わりする二年程前から、着々と足場は固めていたが、予定よりも数年早まった代替わりに、組織をガタつかせちまった。



それでも関東一の規模を三年で掌握したのは、異例の速さだったといえるだろう。



その為、縁戚である冴子の叔父と事を構えるのを避けてきた。鬱陶しく思いながらも、冴子の振る舞いを放置してきたのだが、どうやらそれも潮時のようだな。



「邪魔だ。出てけ」


絡み付いた腕を振り払えば、弾みでソファーから転がり落ちる冴子。



自分の身に何が起こったのか理解出来ないようで、驚愕に目を見開き床の上で固まっている。



俺の視線を受け智也が冴子の腕を取る。そのまま唖然とする冴子をドアまで引きずって行けば、やっと状況を理解した冴子がかん高い声で吠えた。



「ちょっと、離しなさいよ!私にこんな事して、タダで済むと思ってるの」



勘違いもここまでくれば滑稽だな。お前自身にどんな力があるというんだ。



俺達がお前の行動を黙認してきたのは、バックで糸を引いている奴とゴタつきたくなかったからだ。



 

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