貴方の愛に捕らわれて
 

だがそれも三年前(···)の話。三年経てば情勢も変わる。



それは冴子の叔父も気がついてる。だから、何処からか嗅ぎつけたのか香織の存在に焦って、自分の姪をけしかけて来たのだ。



今回の会合に同伴してきたのも、相当焦っている証拠だろう。



冴子と俺がくっつけば自分の地位が安泰などと勘違いも甚だしい。そんな小細工が通用すると思っているあたり、ヤキがまってるとしか思えねえ。



本宅にまで押しかけて香織にちょっかいをかけた事、俺が見逃すと思ってんのか。



本当は香織が卒業するまで、引き伸ばすつもりだったが仕方ねえ。今夜の会合で公表するしかねえ。これ以上おかしなマネされて、香織に何かあっては事だからな。



そんな危惧を嘲笑うかのように、俺の携帯が鳴った。



「どうした」



掛けてきたのは佐武だった。あいつには俺の留守中、香織の事を任せてある。



常ならぬ着信に嫌な予感が過ぎる。その嫌な予感を吹っ切るよう開口一番、要件を問えば、珍しく緊張する俺の耳に聞こえてきたのは、有り得ない一報だった。



 
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