貴方の愛に捕らわれて
息をする事も忘れたかのように固まる姿に、俺は香織が逃げ出さないよう慌てて華奢な両腕を捕まえた。
「香織。俺の事が怖くなったか?」
今度は、できるだけ優しく問いかけた。
すると、小さな声だがハッキリと『違う』と否定をしてくれた。
怯えられたのでは無いようだ。
香織の返事に安堵して、全身の力が抜けた。
そんな俺に、香織は更に何かを伝えようと深く息を吸い込み、小さな手をギュッと握りしめて俺の目を真っすぐに見つめてきた。