貴方の愛に捕らわれて
俺の判断が意外だったのか、智也が目を見開いたが直ぐに表情を消す。
智也の言いたい事は分かっている。香織の元に行かなくてもいいのかと言いたいんだろう。
アイツは香織の事を妹のように思ってたからな。
俺だってすぐに駆け付けてやりてえ。この腕に抱いて、香織は大丈夫だって実感してえ。
だが、それじゃあ駄目なんだ。
今回の事は、まだ裏で誰かが糸を引いてると決まった訳じゃねえ。
しかし、今後、香織の存在を知った奴らがおかしな気を起こさねえよう、ここでキッチリ手を打たなきゃならねえ。
香織に会いに行くのはそれからだ。
智也に携帯を預け、何か変化があったら知らせるようにと指示すると、会合までの数時間、急変した事態に対応すべく、ある男を呼び出した。