貴方の愛に捕らわれて
 

「盛岡っていうお宅の若いのを預かってんだが、そいつがベラベラ喋ってくれましてねえ。そこのバカ女の指示で、ウチの姐さんに手を出したって。


タダで済むと思うなだあ!?それはこっちのセリフだ。この落とし前どうつける気だ。ああ゛!!」



龍二に動かぬ証拠を突きつけられ、一瞬言葉に詰まったものの、そこは腐っても組を預かるだけの男。すぐさま分が悪いと状況判断を下すと、自分は何も知らなかったと関与を否定した。



ここまでは予想通りの展開だった。だが次の一言で俺はキレた。



「冴子は一途な女でねえ、惚れた男を振り向かせたくて必死だったんでしょう。そんな可愛い女心を察しててやってもらえないかね」



ドガッッ!



「寝言は寝て言えや。武田、今し方俺が言ったことをもう忘れたか?香織は唯の女《イロ》じゃねえ。郷田組姐だ!


香織に手を出すって事は、俺に刃向かうって事だ。それを庇うって事は、相応の覚悟が出来てんだろうな」



 

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