貴方の愛に捕らわれて

香織が何かを伝えようとしていると、こんな場所で立ち話もなんだと、場所を移すように龍二が声を掛けてきた。




香織の事しか見えていなかったが、龍二に言われて周りを見れば、かなりの人集りが出来ていた。



香織の事をあれこれ詮索する声…




龍二が言うように場所を移そうと視線を落とせば、あの晩と同じようにカタカタと震え怯えた目で龍二を見つめる香織。




パニックを起こして呼吸もままならない様子に、俺は香織を落ち着かせるため、しっかりと視線を合わせて「大丈夫」だと言い聞かせた。




何度も「大丈夫」だと繰り返すうちに、香織の瞳に光が戻ってきた。



呼吸も落ち着いてきたころ、突然龍二が香織に向かって頭を下げた。



 


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