貴方の愛に捕らわれて
結局、昨夜はうとうとするだけで、あまりよく眠れなかった。
猛さんとの電話を終えると、すぐに佐武さんが夕飯を持ってきてくれ、それを食べながら藤野さんが家政婦を辞めた事を聞かされた。
正直ホッとした。出て行かないって宣言した時の藤野さんを思い出すと、顔を合わせるのが怖かったから。
それから私を脅した刑事達についても、今後は全て弁護士が対応にあたるので、二度と会う必要はないと教えくれた。
佐武さんは、私の心配事を全て払拭すると、明日の朝、お迎えにあがりますと言って帰って行った。
病室に一人きりになると、寂しさがこみ上げてくる。今日は一度に沢山の事があって疲れている筈なのに、神経が高ぶっているせいか酷く落ち着かない気分だ。
テレビを付けてみたもののみる気にもなれず、かといって何かする事がある訳でもない。
いっそのこと寝てしまえば、起きたら朝で家に帰れる。そう思うのに神経が高ぶってて、ちっとも眠れない。
気が付けば手元の携帯で時間を確認する。そして猛さんはもう寝てしまったのかな?それともまだ飲んでるのかしら?なんて猛さんの事を考え、眠れない夜を明かした。