貴方の愛に捕らわれて
モデルのような美形の龍二より、いかつくて強面の俺に懐く小鳥。
俺は上機嫌で車に乗り込んだ。
散々拒否られた龍二は、若干引きつった笑顔で助手席から振り返る。
「始めまして、上杉龍二と言います。
先日は驚かせてしまってゴメンね」
『いぇ、その事はもう……』
改めて自己紹介する龍二に、俯いたままオドオドと答える香織。
どんなに猫なで声で話しかけても怯える香織に、諦めのため息をつくと、龍二は質問を始めた。
「バイトは何時から?」
『今日は2時からです』
「何時に終わるの?」
『いつもと同じ12時です』
ずっと俯いたまま、聞かれたことにだけ答える香織。
「何処でバイトしてるの?」
一番気になっている質問をすれば、予想外の答えが返ってきた。