貴方の愛に捕らわれて
「遅くまでバイトしているんだな。
親は何も言わないのか?」
『はい。母は帰りが遅いので、一人で家に居るのが嫌でバイトを……』
チラリと俺を見て、すぐに視線をあちらこちらと、さ迷わせながら歯切れ悪く答える。
香織はあの砂浜に毎晩来ていた。
まさか毎日、深夜までバイトをしているのか?
「お前、まだ16才だろ?そんな遅くまでバイトしてるのか?
それに学校とか大丈夫なのか?」
『えっと…、バイト先には18才って言ってあるんです。
学校は、テストの点さえ良ければ何も言われないので……』
16才では深夜まで働けないから、年をごまかしていたのか。
しかし、そこまでしてバイトをする理由が、さっぱりわからねぇ。