貴方の愛に捕らわれて
伸ばした腕をどうにか宙に留めた俺は、どうすればいいのか助けを求めてチラリと龍二を見た。
すると龍二は、驚愕して目を見開き、口をポカンとあけたマヌケ面で、俺を凝視している。
女の扱いには慣れているタラシの癖に、肝心なときに使えねぇヤツだ。
心の中で毒づきながら龍二を睨む。
隣りに座る香織に視線を戻せば、今にも泣き出しそうな顔で必死に俺に謝っている。
俺は、宙に浮かした腕を可愛い香織の頭に乗せて、そっと撫でてやった。
すると香織は、今にも涙を溢れそうにしていた瞳を見開き、俺を見て嬉しそうに微笑んだ。