貴方の愛に捕らわれて
自宅のマンション前で降ろしてもらった私は、未だ夢のような出来事に呆然としていた。
もう会えないかもしれないと思っていた猛さんが、目の前に現れた。
しかも、私に会いに来てくれていたなんて………
そっと頭を撫でてくれた、大きくてゴツゴツした手の温もりや、優しく微笑んでくれた眼差し。
先ほどの出来事を思い出すと胸がキューっとなる。
恥ずかしさや嬉しさといった感情が、嵐のように全身を駆け抜け、思わず身をよじりたくなる。
幸福感にニヤケていると、リビングの扉が開いた。
『香奈さん……』
「あら、いたの」
リビングから現れたのは、私の母親。