貴方の愛に捕らわれて
香奈さんにとって私は、何の興味もない“他人”だった。
ううん。他人の方がまだマシ。だって面倒を見る必要がないんだから。
私は小さな頃から夢見ていた“愛される温もり”を15才にして諦めた。
なのに………
どうして、今日はこんなに悲しいのだろう。
優しくされることなんて、とっくの昔に諦めたのに。
ああ、そうか……
頭を撫でてくれた猛さんがの手が、とても暖かかったから。
だから、期待しちゃったんだ。
頬を伝う冷たい雫をグイッと拭い、バイト先へ急いだ。