貴方の愛に捕らわれて

「腹減ってないのか?」



低い声が優しく聞いてくれる。



『オムライスをお願いします』



ドキドキする心臓を必死で抑えて、やっとの思いで答えると「それから?」と、また聞かれる。




『え……?』



「後は何にする?」



びっくりして顔を上げれば、目の前に座る猛さんと視線が合う。




「メインは肉か?魚か?

あと、サラダとスープは何がいい?」




『あの……。オムライスだけで……』



「遠慮すんな。好きなもの頼め」




どうやら遠慮をしていると思われているみたい………




普段から少食な私には、オムライスだけでも完食出来るか心配なのに。




『そうではなくて、オムライスだけで十分なんです。それ以上は、お腹に入りません』



遠慮じゃなくて、食べきれないからと告げると、「小さいとあんまり食わないんだな」なんて言いながら、何とか納得してくれた。



 

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