貴方の愛に捕らわれて
ホテルでおとなしく2日も寝ていれば、きっとこの風邪も治るだろう。
予約が完了すると制服を脱いで、ジーンズとセーターに着替える。
そして小さめなカバンに、2日分の下着やパジャマ代わりのスウェットを詰めて家を出た。
途中、繁華街のドラッグストアに寄って 、スポーツ飲料やら冷却シートやら風邪薬を買った。
もう体は限界に近いようで、少しでも気を抜いたら、倒れてしまいそう。
繁華街からビジネスホテルは、すぐ近くにある。
ふらつく体を引きずり、何とかホテルにたどり着くことが出来た。
フロントでキーを受け取ると、最後の力を振り絞って部屋に向かう。
部屋に入ると、不意に猛さんの事を思い出した。
『そうだ、バイト先と猛さんに連絡をしなきゃ……』
バイト先に電話をして、2日程風邪で休みたいと伝えた。
猛さんにも電話をしようと思ったけど、この時間ならきっとお仕事中だろう。
お仕事の邪魔になってはいけないから、電話は止めて『2日程バイトを休みますので会えません』とメールを送った。
以前、5日程会えなかった後に、これからは何かあったら必ず連絡するよう猛さんと、携帯電話とメールのアドレスを交換させられていた。