貴方の愛に捕らわれて
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猛saido
それは龍二にかかって来た電話から始まった。
まだ昼前だというのに、珍しく焔虎の晃が龍二に電話をしてきた。
用件は、香織が4時限目の前に早退をしたというものだった。
香織を校門前で待ち伏せたあの日以来、何か変わった事があれば、すぐに知らせるよう、香織の学校での行動を焔虎のヤツらに見張らせていた。
但し、香織に接触する事を禁じておいたから、香織はその事に気付いていない。
香織は時々、遅刻をする事はあったが、早退をしたのは初めての事だった。
報告を受け、すぐに香織の所在を確認するよう、龍二に指示した。
10分もせずに所在確認は出来た。香織は自宅にいた。
しかし早退の理由が分からない。
不審に思っていると、香織が小さなカバンを持って、どこかへ出掛けるとの報告が入った。
行き先をつけさせると、繁華街のドラッグストアで何かを買って、駅前のビジネスホテルに一人で入って行ったという。
「如何しますか」
龍二が渋い顔で俺の指示を仰ぐと同時に、俺の携帯がメールの着信を告げる。