貴方の愛に捕らわれて
ところが、ガン!という音が響いてドアは10センチほど開いた所で止まる。
チェーンだ
完全に頭に血が上った俺は、忌々しいドアを力いっぱいに蹴破った。
ガシャーン!!
物凄い音をたてて、チェーンの金具が壊れた。
強引に開けたドアから乗り込み真っ先に目に付いたのは、ベッドの上に無造作に脱がれた香織のコート。
真っ直ぐベッドに向かった俺が目にしたのは、上気した頬に潤んだ瞳で、気怠そうに俺を見上げる香織。
「香織!どういう事だ」
『あ…れ……?猛さ………ん…?』
ベッドにいる香織の姿を目の当たりにして、俺はつい我を忘れて強い口調で問い詰めた。
その時、俺の後ろに控えていた龍二が口を開いた。
「組長、薬です」
そういえば、ここに来る前に香織がドラッグストアに寄っていた事を思い出す。
何の薬だと聞いてはみたが、この騒ぎの中、一向にベッドから出てこない香織にイラつき、俺は香織の布団を強引に剥ぎ取った。