貴方の愛に捕らわれて

まずは智也が用意した水枕を、香織の頭の下に入れてやる。



すると、それまで苦しそうにしていた表情が少し和らぐ。



額には冷却シートを貼ってやったが、上手くくっつかない。



3度貼り直したが、俺の手にはくっつくのに、肝心の香織の額には付かない。




「智也。コレ貼れねぇぞ。新しいの買って来い」



イラつきながら智也に新しいのを用意するよう言えば



「組長。その……額の汗を拭いてやらないと、貼れないと思います」



そうなのか?


智也が用意した濡れタオルで額の汗をそっと拭い、もう一度シートを貼る。



すると今度はきちんとくっついた。



だいぶ穏やかになった呼吸にひとまず安堵し、龍二がホテルから持ち帰った香織の荷物を確認する。


 

< 87 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop