貴方の愛に捕らわれて
まずは智也が用意した水枕を、香織の頭の下に入れてやる。
すると、それまで苦しそうにしていた表情が少し和らぐ。
額には冷却シートを貼ってやったが、上手くくっつかない。
3度貼り直したが、俺の手にはくっつくのに、肝心の香織の額には付かない。
「智也。コレ貼れねぇぞ。新しいの買って来い」
イラつきながら智也に新しいのを用意するよう言えば
「組長。その……額の汗を拭いてやらないと、貼れないと思います」
そうなのか?
智也が用意した濡れタオルで額の汗をそっと拭い、もう一度シートを貼る。
すると今度はきちんとくっついた。
だいぶ穏やかになった呼吸にひとまず安堵し、龍二がホテルから持ち帰った香織の荷物を確認する。