貴方の愛に捕らわれて
ドアの向こう側は明るい照明に照らされいて、男の人の顔は逆光になって分からない。
『いやっ!!』
恐怖のあまりに声がかすれて、悲鳴も上げられない。
「目が覚めたのか香織。気分はどうだ?」
聞こえてきたのは、私の好きな力強い低い声。
『猛さん………』
部屋に明かりが灯され、近づいてくる人の姿を見れば、やはりその人は猛さんだった。
混乱する私の枕元に立った猛さんは、大きな手で優しく頭を撫でると、私の目を覗き込んで繰り返した。
「気分はどうだ?何か欲しいものはないか?」
太い眉毛を少しひそめ、心配そうに私の目を見つめる猛さんのアップ。
近い!近すぎます!
すぐそばにある猛さんの顔に、心臓がバクバクと激しく鼓動を刻み、顔が真っ赤に染まる。
赤くなった私に、心配した顔を更に寄せる猛さん。
私は、混乱する頭で何とか疑問を口にすれば、更にびっくりする答えが返ってきた。
『あの……。ここは………?』
「俺のマンションだ」
『え……!?』