貴方の愛に捕らわれて
私、確か駅前のホテルに居たよね…。
そこから猛さんにメールしたんだよね?
「香織がホテルで倒れていたから、俺の部屋に運んだ。
医者に診せたら、風邪と貧血だと」
猛さんの言葉がうまく理解できない。
それでも必死に、今の状況を理解しようと、目覚める前の記憶を手繰り寄せていると、大きな手が額に触れる。
『まだ熱いな。これで熱を計って、ちょっと待ってろ」
そう言うと、猛さんは体温計を差し出して、部屋から出て行った。
一人残さた私は、広い室内をぐるりと見渡す。
そこは黒と白を基調としたモダンな感じの、いかにも猛さんらしい部屋だった。