貴方の愛に捕らわれて

ちゃぷん……



頭を動かした拍子に、また耳元で聞き慣れない音がした。



枕元を見れば、頭の下には水枕があった。



目が覚めるきっかけになった音は、この水枕の音だったんだ。



冷たくて、気持ち良い………。



もしかして、猛さんが用意してくれたのかな?




そう思ったら、なんだかすごく嬉しい。


ニヤケる顔を布団を引き上げて隠し、体温計を脇に挟んだ。


言いつけ通りに熱を計っていると、猛さんがグラスを手に戻ってきた。



ベッドサイドのテーブルにグラスを置くと、私から受け取った体温計を見て、渋い顔で言った。



「まだ38.3度もあるな。取りあえずスポーツ飲料を持ってきたから飲め」



そう言うとベッドに腰掛けて、グラスを差し出してくれる。


 

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