貴方の愛に捕らわれて
全然食べたくなかったけど、猛さんに促されるまま、お粥を口にした。
『美味しい……』
「そうか。じゃあ、もう少し食え」
猛さんに食べさせてもらったお粥は、梅干しの酸味が効いていて、さっぱりとして本当に美味しかった。
食欲がなくて食べれないって思っていたけど、猛さんに食べさせてもらっていたら、お椀の半分も食べていた。
本当にお腹が一杯になったのでそう言うと、「じゃあ、薬を飲んで少し寝ろ」と言って、薬も飲ませてくれた。
小さなころから、病気になっても看病をしてくれる人なんていなかった。
具合が悪くても、一人でじっと寝ているのが、当たり前だった。
だから私にはよく分からないけど、生まれて初めて誰かに心配をしてもらえた事が嬉しくて………
『ありがと……ござい…ます……』
泣きそうになるのをグッと堪えて、そう言うとお布団に潜り込んだ。