◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
領汰は小説を読みながら怜汰を待っていた。
夕日の明かりが領汰に降り注ぎ髪を赤く染めた。
「・・領汰」
私は無意識に領汰を呼んでいた。
領汰はすっと顔を上げ私のほうに振り向いた。
「・・なに」
「・・・あ。・・お昼のあの・・言い過ぎたかも・・」
「・・・ふ。別に気にしてねぇし」
・・嘘だよ。なんかお昼から領汰元気ないし。
他に何か原因があったとしても、あれはちょっと言い過ぎたかも。
朝、私のためにパンとか買ってきてくれたのに「優しくない」とか言っちゃったし。
「でも・・ごめん」
「ふん・・。らしくねぇな。・・棗らしくねぇよ。そんなんじゃ」
「だ、だって、領汰がなんか元気ないから、こんな風に素直に言ってるんじゃん!・・・こっちだって空気ぐらい読めますから」
「俺別に沈んでねぇし。・・っていうか、棗に素直になられたら調子狂うからやめろ」
「!!せっかく素直になったっていうのに、そんな言い方する!?こ・・こっちが心配してやってんのに・・お・・大人になったのに・・」
私は言葉を詰まらせ、そのまま教室を出て行った。
うっすら涙がにじみ出た。
「棗!!」
教室から私を呼び止める領汰の声も聞こえないほど駆け出した。