◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
†幸せ者†
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くそッ!どこにいるんだアイツ!!
領汰は有紀の着信に気づくように携帯を片手に私を探す。
そして
「あッ・・!」
領汰は勢いよく携帯を広げ有紀に電話をかけた。
<もしもし!領汰くん!どぉ!?棗見つかった!?>
「いや。まだなんだけど・・、もしかしたらと思ってかけたけど・・、カラオケに行くまでの間に川村先輩見なかったか・・?」
<え・・・。川村先輩・・?>
「あぁ。サッカー部の部長。川村義彦先輩だ」
<!!!あ!川村先輩ならカラオケのバイトやってたよ!入ったら川村先輩が受付やってた!>
「・・・・え・・・・」
<それが・・どうかした・・?>
「・・ッつ・・・!!棗を拉致してんのは川村先輩だ!!さっき棗の携帯に電話したら川村先輩が出たんだ!・・棗と・・・・・遊んでるって・・」
<!!じゃあ今棗は、このカラオケ屋にいるの!?>
「あぁ!そうだ!」
<嘘!棗を探さなきゃ!!>
電話の向こうから有紀の走る音が聞こえてきた。
「待て!!有紀ちゃんはそこで待ってて!棗を拉致してんのは川村先輩1人じゃないはずだ。仲間が複数いる可能性が十分ある!俺が今からそっち行くから、だから有紀ちゃんはそこで待ってて!」
<わかった。待ってる・・・・。早く・・きてあげ・・て・・!!>
今度は有紀の泣く声が聞こえてきた。
領汰は優しい言葉をかけることもなくそのまま電話を切った。
「・・あの馬鹿棗!!!ワナなんかに引っ掛かってんじゃねーよ!!」
そう言って領汰はカラオケ屋に向かい全速力で走り出した。