◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
「(え・・。何!何!?)」
だんだんと近寄り
「おい。棗」
と言って話してきた。
「な、何?」
「コレ。食えよ」
と私にコロッケパンを差し出した。
「え。いいよ」
「いいから」
「だって怜汰がパンくれるって言うから、いらないよ」
「・・お前気を使えよ」
「・・・え?何それ」
「怜汰が食欲ないとか言ってるからって、そのまんまもらう気かよ。食欲ないんなら心配して逆に食べてもらうとか、そういう気、使えねぇのかよ」
「・・・・・」
私は黙ってしまった。怜汰からもらえるからお金使わなくて済むと思ってラッキーだと思っちゃっただけで、怜汰の心配なんてしてなかった...。
領汰の言ってること、間違ってない・・。
「だからホラ。怜汰のことちょっとでも気にすんならコレ食え。わかったな。せっかく買ってきてやったんだから」
「・・・うん」
私は静かにパンを受け取り顔を上げた。
領汰は、しかたねぇなという顔で見下ろしていた。
そのまま領汰は席に戻っていく....。
そんな姿をみて私はとっさに声を出した。
「・・ありがとう。パン・・」
領汰は少し照れながら「おう。これからはちゃんと食ってからこいよな。待っててやっから」
と言い、席に戻って行った。
やっぱり感情のコントロールに困る。
さっきまでプンプンしてたのに、そんな優しいことされたら照れる。
・・領汰って、難しいし。
でも嫌いにはなれない・・・。
「しかも私が1番好きなコロッケパン・・・」
「クールな顔して優しいよね。領汰くんて」
有紀がさらっと言う。
「うん」
「あれ?今日は素直だね、棗」
「・・・・・・・・・えッ!ううんって言ったの!聞き間違えしないでよね!」
「プッ。素直じゃないな~。まぁ棗らしいけど」
からかわれながらもちょっと赤くなってしまう。
そんな自分に「でも怜汰の方がず~~~~~~~~~~~っと好きだもん!」と心の中でつぶやいた。