◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
†心†
私は領汰に怒りながらも考えていた。
...小さい頃の領汰は優しかったのに..。なんて。
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11年前・・・
私達が5歳の頃。
私は夕暮れの土手で花摘みに没頭してたんだっけな。
日が沈んでいくのも気づかずにひたすら花摘みをしてた。
「棗ちゃん。何してるの?お母さんは?こんな時間まで土手にいちゃダメだよ」
と近所に住むおじちゃんが声をかけてくれた。
「でもね、この花摘みたいの。いっぱい。いっぱい!」
「いっぱいって・・。何でだい?」
「領汰くんにあげるの!領汰くん風邪引いちゃったの!だからこのお花持って行くの!お見舞いに!」
「そうだったのかい。...領汰くんが風邪ねぇ。珍しいね、あの元気な領汰くんが..。・・でもね、もうそろそろ帰らないとお母さん達心配しちゃうよ。暗くなってくるし、一緒に帰ろう」
「待って!もう少しだけ待って!」
と私はしゃがみこみ花をひたすら摘んでいた。
その時...
「お~い!棗ちゃ~~~ん!!」
遠くから誰か私を呼んでいる。
そして駆け寄ってきた。
「・・ん・・?誰・・?」
そして私の前で息を切らせながら顔をあげた。
「棗ちゃん..はぁはぁ...。んんッ..何してるの..?」
「領汰くん!!!!」
「領汰くんじゃないか!風邪じゃなかったのかい?」
「今やっと熱が下がったんだ」
「ほんと!?領汰くん大丈夫?」
と泣きそうな目で領汰を見つめた。
「うん。大丈夫だよ。...棗ちゃんこそ心配したんだよ。暗くなってるのにお家にいないって言うから」
「ごめんね。..実はね、このお花領汰くんのお見舞いにあげたかったの」
「・・え。僕に?」
「うん」
すると領汰は私の髪をなでて
「ありがとう。棗ちゃん。僕のために・・」
と言ってくれた。
「領汰くん..うぁぁぁぁぁぁぁ~ん!あああああッ」
きっとあの頃の私にとって風邪とは、死にかかわるようなものだと思ってたんだ・・。
領汰が死んじゃうと思って...。
・・・
すると領汰は