怪談
ドッペルゲンガー
後輩のNの話である。


ある日曜日、Nの家族は揃って選挙に出かけた。

Nはまだ選挙権がなかったが、興味があって付いて行くことにしたのだという。

良い天気だし、すぐ帰ってくる予定なので二階に布団を干した。

選挙から帰ってきたとき、何気なく布団の様子を見るために二階に目をやった。

Nは驚いた。

自分がいる。

二階の窓からニコニコと家族に微笑む自分が見える。

着ている服までまったく同じだ。

茫然としていると、二階のNと目が合った。

すると家族を見ていたときと一転し、ものすごい形相で睨んできた。



自分の顔とは思いたくないほど、恐ろしい顔だった。



ぞっとして母を呼んだ。

あれが見えるかと尋ねたとき、二階にNの姿はなかった。

あれはドッペルゲンガーというものかもしれないと、あとから思ったという。

ドッペルゲンガーに合うと近いうちに死ぬという。


しかし、成人して随分経つが


Nは元気に生きている。




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