怪談
コックリさん
私が小学高学年の頃の話である。


昼休みに女の子達が揃って『コックリさん』をしていた。

好きな男子の想い人を知りたいのだという。

紙と十円玉を机に置いて熱心に質問を繰り返しているがどうやら十円玉はピクリともしないようだ。


力入れすぎなんと違う?

違うって、それよりみんなちゃんと質問心の中で言うてくれてる?

これやり方合っとん?


その騒ぎように、


なんや。コックリさん来うへんやん。

『コックリさん』てやっぱりただの噂なんか。


と、密かにがっかりする。

どうやっても動かないコックリさんに女の子達も飽き始めた。


なあ、もうええんちゃう?


誰ともなしにそう言い、十円玉から指を離す。

それと同時くらいに偶然、クラスメイトの一人が教室の窓を開けた。

すると突風ともいえる風が教室に入ってきた。

朝から風が強かった為、突風自体はおかしな事ではなかった。

だが、プリントはおろかノートや鉛筆まで吹き飛ばすその勢いのなか、誰も触れていないのにその『コックリさん』をしていた紙だけは


ピクリともしなかった。


よくわからないが、私はこれから決して『コックリさん』をしないだろう。


そう思った体験だ。





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