記憶の桜 -花空残夢-
「大丈夫だ。どんな戦禍にあろうと空は変わらず、そこにあり続ける」
「斎藤さん…」
「だから、そう哀しむな」
俺は葛葉の黒く艶のある髪をそっと撫でた。
俺はお前が哀しむ姿を見たくない…。
何なんだろうな、この気持ちは…。
「そうですよね。何か、元気が出ました。ありがとうございます、斎藤さん」
彼女はいつもの調子を取り戻したのか、愛くるしい笑みを浮かべた。
どうやら、元気が出たみたいだな。