記憶の桜 -花空残夢-
「だから、俺に会津を任せてください」
「…分かった。ただし、死に急ぐような事はすんじゃねぇぞ」
「………。はい」
土方さんは観念したように溜息を吐き、髪をぐしゃぐしゃと掻いた。
そんな彼に斎藤さんは一礼し、陣営を出て行った。
私は陣営を出て行った斎藤さんの後を追いかけた。
「斎藤さん…、何故、あんな事…」
少し前を歩く彼の背中に問いかけた。
あの言葉は彼の本望ではないはずだ。